東堂子胡同

東堂子胡同は、西は東単北大街から、東は朝陽門南小街まで、全長は700メートル余りある。
明代には「堂子胡同」と呼ばれていたが、金魚胡同の北側の「堂子胡同」と同じ名前になり、清代には「東堂子胡同」と改称し、金魚胡同の北側の堂子胡同を「西堂子胡同」と呼んで区別した。
清朝総理各国事務衙門の旧跡は東堂子胡同49号(老門牌20号)にあり、清朝政府の外交・外事に関する中央機関であった。この衙門（公衙）は中国初の正式な常設外交機関であり、中国の近代外交機関の誕生を示し、中国外交の近代化の道を歩み始めた。
ここは清国の大学士セザンヌの屋敷でしたが、1845年に鉄銭局公所となり、1861年に総理事務衙門となり、1901年に『辛醜条約』によって総理衙門を外務部と改め、民国初年に外交部と改称した。同文館はすでに閉鎖され、同文学会となっていた。この後、外交部は石大人胡同(現在の外交部街)に移転し、総長、次長長官の宿舎となった。解放後、公安部民願受付所と公安部寮になった。
北京城の胡同は牛の毛のように多くて、総理各国事務衙門はなぜ東堂子胡同を選んだのか。清宮檔案によると、一つは総理衙門が重要な機密部門であることを考慮し、軍機官吏が朝廷と総理衙門の間を往復して機密文書を転送することを保障するためである。第二に総理衙門は司を分けて事を処理し、役人が雑で、事務場所に対する需要が高く、調べてみると東堂子胡同には銭糧局の役所があって、十分に事務の需要に応えることができる。
蔡元培の旧居は東堂子胡同75号(老門牌33号)にあり、蔡元培先生が北京大学学長を務めていた時の住居だ。蔡元培学長は北京大学学長在任中、「包容、思想の自由」の建学方針を実行し、北京大学を改革した。古く陳腐だった北京大学を活気と上昇志向のある近代的な大学に変え、新文化運動の中心地、五・四運動発祥の地となり、学校運営の理念や文化的影響力の面で全国に放射した。
東堂子胡同75号院は蔡元培が五四運働に直接かかわっていた時代、中国外交の失敗という屈辱と愛国運働の壮絶さが胡同の栄光を照らした。国家存亡の重要な時期に、蔡元培は学生の愛国行為に対して断固たる支持と保護を与え、危険を冒し学生を救出した。東堂子胡同75号院は、蔡元培の精神的な裏庭だけでなく、各方面のエリートと名士が集まる場所で、胡適、周作人、陳独秀などは数え切れないほどこの旧居に足を踏み入れた。
蔡元培氏の旧居は現在、東城区の愛国教育基地となっている。書斎にある本棚と椅子、机の上の紙とペン、硯、タイプライター、寝室のベッド、化粧鏡のあるタンス、籐の椅子、コート掛けに掛けられたコート、タオル掛けに掛けられた白いタオルなど、当時の蔡元培氏の住居の細部が復元されている。
中国現代医学の先駆者である伍連德氏の旧居は、3階建ての赤レンガの別荘で、虎窓のある「孟萨（モンサ）屋根」は典型的なフランスのロマン主義建築スタイルを持っている。設計者は清末にフランスに滞在していた建築設計家の華南圭さんだ。
伍連德は南洋の華僑で、マレーシアのペナンで生まれ、イギリスのケンブリッジ大学で医学博士号を取得し、1910年末に東北ペストが数万人の死傷者を出し、伍連德博士は4ヶ月足らずで国内外を震撼させたペストの大流行を撲滅した。このペストとの戦いで、ウーリアンド博士は一連の奇跡を起こした。彼は中国医学史上初の病理解剖の症例を実施し、世界で初めて「肺ペスト」の概念を提唱した人物となった。彼は「伍氏のマスク」を設計し、中国の人々が初めてマスクで感染症を予防できるようにした。彼は初めて遺体の火葬を提起し、疫病の流行を効果的に抑えると同時に国民の遺体安置に対する観念を変えた。その後、伍連德は1919年、1920年、1926年、1932年に中国東北部と上海で発生した肺ペストとコレラとの闘いにも尽力した。
1911年、伍連德は万国ペスト研究会議の議長を務めた。彼の推進により、中国は港湾検疫の主権を回復した。また、ハルビン医科大学や北京大学人民医院の前身である北京中央病院など、全国に20以上の病院や医学部を設立し、北京協和医学院の建設にも参加した。彼が創設した東北防疫総局は、国際的に有名な防疫科学研究機関となり、過去20年間、東北地方の防疫業務を引き受けただけでなく、一世代の防疫エリートを育成した。
総理各国事務衙門の西側にある東堂子胡同51号院(旧門札21号)は著名な文学者の沈従文先生の旧居であった。沈従文先生は1953年から1980年までの27年間、ここで暮らした。当時の51号院は二列の四合院で、部屋は20余りあり、中国歴史博物館の宿舎として使われていた。歴史博物館の職員である沈従文が与えられた部屋は、奥の庭の東にある北の部屋の3つだ。金岳霖、巴金、李健吾、朱光潜、曹禺、卞之琳はしばしば沈従文を見舞いにここを訪れた。
「中国社会科学界百年以来の最も傑出した三大経典学術成果」の一つとされる『中国古代服飾研究』は、東堂子胡同51号で初歩的に完成したものだ。